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外部人材による経営革新―候補者との対話重視を

大手企業では社内風土とは異なる価値観のチームを編成して、これまで挑戦してこなかったプロジェクトに取り組む事例が増えています。経団連が2年前、企業本体から独立した「出島」形式の組織を使って機動的な意思決定を図る経営戦略を提言して以降、特に活発化しているようです。

企業が外部の人材や知見を活用した経営革新(オープンイノベーション)に乗り出す場合を考えます。経営者が直轄でプロジェクトを指揮するとき、HR(人的資源)部門は企業本体向けとは別の新たな人事システムやルールの運用で極めて重要な役割を果たします。

ただ「人材の選定や育成に関して社内にイノベーションを起こせ」という要求は極めてハードルが高い。HR部門が経営者のビジョンに沿ってその使命を果たすには、社内の伝統的な知見や合意形成の手法に頼らずに、手探りで試行錯誤を続ける覚悟が必要です。

HR部門はオープンイノベーション活動の起点であり、人材管理を担う立場にある。運営の巧拙がプロジェクト全体の成否につながります。同部門が果たす役割と責任はとても大きいのです。

ここからは、オープンイノベーション活動に取り組む企業のHR部門が人材選定を担う場合の、2つのソリューションを提言します。


1つ目は、人材の自前主義にこだわらず、外部の専門家と協力して選定に関する新たな知見や判断基準を構築していくことです。特に候補者との対話を重視します。

イノベーション人材に不可欠な「目利き力」「関係者を巻き込むコミュニケーション力」「EQ(心の知能指数)」を知るには、候補者の取得技能や資格などの客観的な情報だけでは不十分だからです。

候補者に過去のさまざまな成功・失敗体験を聞き、その際に取った行動とその理由、その結果、発生した事象の因果関係についての自身の分析と気づきなどを語ってもらいます。

その上で外部の専門家の助言も参考にしながら、自社のオープンイノベーション活動に対する適性や課題への適応力などを評価するのです。


2つ目は、チーム活動を前に進める「ファシリテーション能力」にたけた社内人材に、一種の「プロデューサー兼コーディネーター」としての役割を任せることです。

自身が画期的なアイデアを次々と生み出すわけではなくても、メンバー間の会話から突破口となる糸口を素早く感じ取り、それを明確なビジョンとして視覚化してメンバーや利害関係者間で共有させることが得意な人材は、各部門に少なからずいるはずです。

関係者を巻き込むスキルと経験も加味すれば、ミドルマネジメント層からの選定がふさわしいでしょう。選定する側のHR部門にも、このような人材を起用すべきです。

この2点のほかに、大手企業でオープンイノベーション活動に取り組んでいる関係部門の現役の社内人材や、スタートアップ企業の経営者たちから直接話を聞くことも役に立ちます。

ただし、他社のHR関係者の意見にはその会社独自の組織風土が色濃く反映されていることを割り引いて考える必要があります。

自社と関わりの強い事業エリアや業種に限定せずに、むしろ幅広い分野の会社が選択してきた活動の背景や環境を分析し、自社のビジョンに適応させて取り込んでいくことがよいでしょう。


ウズベキスタン出身。サマルカンド国立外国語大学で英語・日本語言語学を修了。人材開発コンサルのSOPHYS(ソフィス)とグローバル事業開発支援のTrusted(トラスティッド)を東京で設立。





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