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イノベーション人材の育成―目利きと利害調整カ

メーカーやIT(情報技術)企業が生え抜きの社内人材をイノベーション活動に参画させる場合、技術畑と企画畑のどちらのキャリアを積んだ人がふさわしいのか。最近、私の周囲で話題になったテーマです。

企画部門が強い権限をもっていない会社の場合は、技術畑のエンジニアがイノベーション人材に適していると考えます。そのような企画部門は、会社の既存の価値観からはみ出す意思決定を苦手にしているからです。

たとえば新規のプロジェクトを策定する際に、関係部門の間で利害調整を行い、過去に成功した事例やプロセスを適用して一定の成果が見込めるプランを選択する傾向がありそうです。前例が参考にならないイノベーション活動においては、効果があまり期待できないのです。


一方、エンジニアの強みは自社技術に関する高度で専門的な知見を蓄積していることです。日本企業と海外企業との協業ではコミュニケーションギャップが大きな課題となりがちですが、エンジニア同士は技術に関する知見を共通言語とすることでギャップの大半を補完できます。

自身の専門的な知識を高めることだけに満足せず、専門外の色々な方面に首を突っ込んでは試行錯誤を繰り返しているエンジニアがいれば、イノベーション人材として育成してみるべきです。


その人は周囲から地に足がついていない変わり者と見なされているかもしれません。しかし事業分野や業種を超えて技術を吸収しようとする好奇心と柔軟性が、社内の常識や慣行を越えて付加価値を創出する可能性を秘めていると思います。

イノベーション人材に求められる主要な2つのスキルは、他の人とは異なる視点から事業機会を見いだす「目利き力」と、利害関係者を納得させてプロジェクトに巻き込む「コミュニケーションスキル」です。


目利き力は一種の芸術的な才能であり、経験を通して外部から気づきを得ることはできても、結局のところ個人の資質によるものだと考えます。私は自社で開発中のグローバルイノベーターの育成プログラムでも、潜在的な目利き力を開花させるメソッドに多くの工数を割いています。

コミュニケーションスキルについては、その主要な要素であるEQ(感情的知性)を訓練で一定水準まで向上させることが可能です。

経営幹部やHR部門が社内のイノベーション人材の発掘を推進する場合は、自身にも2つのスキル、とくに目利き力が備わっていることが重要です。いわゆる「名人は名人を知る」の側面があるからです。

自身の目利き力について客観的に評価した結果、それが十分でないと判断したならば、迷わず外部から専門家を招き、協働して人材発掘に取り組むべきです。

イノベーション人材の育成には、スキル向上の土台作りとして、自社のビジョンを各業務にブレイクダウンできる大局的な経営的視点と、自社の技術に関するより専門的な知見を磨くことも必要です。


実際のイノベーション活動のなかで各タスクの職場内訓練(OJT)と並行して、土台作りに取り組む機会も提供することが効果的です。

もし育成すべき人材がすぐに見つからない場合は、最重要機密に触れない実務を対象として、社外の専門家に活動の一部をしばらく委任することも選択肢の1つです。


ウズベキスタン出身。サマルカンド国立外国語大学で英語・日本語言語学を修了。人材開発コンサルのSOPHYS(ソフィス)とグローバル事業開発支援のTrusted(トラスティッド)を東京で設立。




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