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M&A後の相互信頼―顔付き合わせ意思疎通


企業は社会の価値観や技術の変革に適応するため、リソース(経営資源)の専門性と付加価値を高めて競争力を強化しています。M&A(合併・買収)によって取得したリソースを社内で最適に配分することは、その手段の1つです。


私がよく会う複数のグローバル企業のシニア・マネジャーたちは重要な新規事業を立ち上げる段階で、社内に存在するはずの優秀な人材などのリソースの確保に苦労しています。

これは事業組織の大きさや、そこで共有する情報の透明性に起因していると思われます。例えば買収されてから日が浅い海外拠点では、旧来の社風や組織体制の影響が残り、日本の本社による統治が十分に効きません。

社内リソースを適切に把握するには、買収前に実施したデューデリジェンス(資産査定)で明らかにされなかった情報の不透明性の解消が重要です。この場合、互いの信頼感が低い状態では、本社が拠点へ送り込んだスタッフに内部事情を報告させても良い効果は期待できません。

まず本社と拠点双方の警戒心を解くことが必要です。それには当事者が顔を付き合わせてコミュニケーションを重ねることが最もシンプルかつ効果的です。



私は価値観の異なる組織が経営リソースを共有するための基盤として、次のプロセスによるコミュニケーションが不可欠だと考えます。

(1)各組織内のプロジェクトとキーパーソン(意思決定者)の可視化

(2)キーパーソン同士が直接的に情報交換できる手段の確保

(3)音声と動画による日常業務の情報共有


(1)と(2)で、アクセス相手を容易に発見できる仕組みを構築した後に、お互いがいつでも能動的に情報共有ができる機会を保障します。

当事者のメッセージには他の利害関係者によるノイズが含まれず、信頼性がより高まります。多くのIT(情報技術)は海外拠点に生じる地理的、時間的な制約を解決してくれます。そして、この関係性を双方の組織で拡散させるのです。

(3)では、メールなどのテキストだけでは伝えることが難しいチームの雰囲気やメンバーの様子を疑似体験させることができます。


また本社が全社の業務プロセスの標準化を計画するような場合、各拠点の関係スタッフが参加する勉強会で、各現場における実施プロセスやノウハウ、使用機器などについて解説した動画を共有します。

メンバーがそれに基づいて議論を重ねることで、日本的なプロセスを強いるのではなく、互いの意図や利点を受け入れた改善策を見つけ、ボトムアップで経営リソースの付加価値を高めることができます。

私は10年間、企業に異文化理解に基づく人材開発のソリューションを提供するなかで、その実践には上記のプロセスを導入することが効果的だという結論に至りました。現在、もう1つの会社(トラスティッド)で、それを実現するプラットフォーム(情報基盤)を開発しています。

組織のメンバーは、自身が創意工夫してきたプロセスやノウハウこそが合理的だと考える傾向にあり、それが蓄積することで組織間の誤解と不信を招きます。

お互いが自身の価値観をオープンにして対等な立場で情報を提供することで、経営リソースの適正な評価と活用が可能になるのです。


ウズベキスタン出身。サマルカンド国立外国語大学で英語・日本語言語学を修了。人材開発コンサルのSOPHYS(ソフィス)とグローバル事業開発支援のTrusted(トラスティッド)を東京で設立。





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