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実践的な産学連携のために


新型コロナウイルス禍も落ち着きをみせるようになり、2023年からは一層、海外企業の技術やサービスの日本進出や、国内企業が強かった市場においても海外企業によるゲームチェンジが予測されています。このような状況下で、国内大手企業は新たな技術や事業の開発に奔走しています。


しかし、長年にわたって社会全体に染み付いている経路依存症からの脱却は困難を極めています。国内や社内で基礎研究された技術がなかなかマーケットインしないというケースです。

この課題を解決するため、企業は外部に斬新な基礎研究やスタートアップを求め、取り入れる試みをしてきました。しかし、グローバルトレンドと自社の開発が乖離(かいり)し、売り上げに結びつかないまま、海外企業の後じんを拝する結果となってしまっています。

これを解決するヒントとして、ドイツの採用・インターンシップと産学連携の手法を紹介したいと思います。


一般的な海外各国と同様にドイツにも季節的な「新卒採用」という概念はなく、企業側のタイミングにより求めるスキルや経験に対する募集のみで「総合職」という概念もありません。この点もポイントで募集要項は企業戦略であり、マーケットで価値を生むのはどんなスキルでどんな研究なのか、学生の選択の指針となっています。


学生は、自分のスキルや研究を実社会で役立たせるべく、キャリアスタートとしてインターンシップに応募します。企業側もインターンシップを学生に対する社会人体験の提供機会とせず、アシスタント、チームの一員として実践業務を積ませ、採用も念頭に置き、スキルを評価しています。


また、大学の授業については理系でもビジネス科目の履修が必須となっています。卒業後に企業で即戦力として活躍するためのカリキュラムが組まれているのです。


この一連の仕組みでは、おのずと大学での履修内容と企業での実践がリンクするので、就職後も自分のスキルや研究内容のレベルアップをすべく大学に戻り、教授とコミュニケーションを取り、授業を受けることは珍しくありません。ドイツではこれこそが産学連携の源流となっています。卒業生と大学の個人的で自然なコミュニケーションが企業のグローバルなマーケット動向と大学の最新研究についての情報交換の場となり、産学連携のプロジェクトのきっかけとなることが多々あります。


一方、日本では通常、企業と大学が「提携」という手続きのもとに遂行されることが一般的ですが、なかなかマーケットインできない。その原因の1つには、大学での履修、研究内容と就職後に求められる実践内容が乖離し、そこから生じる卒業生と大学とのコミュニケーション不足があるのかもしれません。


日本の採用の仕組みやインターンシップの仕組みについてすぐに大きな変更を実施することは困難かもしれません。でも、一人ひとりが母校とコミュニケーションを積極的に取り、ビジネストレンドと研究内容の情報交換を重ねていこうとすることは、将来にわたり連続的に基礎研究をマーケットインさせるための基本的で重要なアクションといえるでしょう。





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